高年収特化FPと学ぶ 「守りの資産運用ゼミ」 ~Low Risk, More Money~
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会社員も申告漏れを確認し、条件に合った控除の活用によって税負担を抑えられます。まずは既存の支出や家族の状況から使用できる制度を確認し、その後に資金拠出を伴う対策について検討します。そしてNISA、ふるさと納税、iDeCoはそれぞれ効果が異なるため、違いを理解した上で活用することが重要です。
また、支出後に自由に使えるお金についても確認するのも大切なポイントといえます。
| 対策 | 主な対象・ 確認条件 |
効果の種類 | 支出・資金面の 確認 |
主な手続き |
|---|---|---|---|---|
| 扶養・配偶者関係の 控除 |
家族の年齢・所得 生計、本人所得等 |
所得控除 | 現在の家族状況を 確認 |
年末調整等 |
| 所得金額 調整控除 |
給与850万円超、 23歳未満扶養親族等 の条件 |
給与所得の調整 | 該当状況を確認 | 年末調整等 |
| 家族分の 社会保険料控除 |
生計を一にする家族の 保険料を実際に 支払った場合 |
所得控除 | 誰が支払ったか確認 | 年末調整等 |
| 生命保険料・ 地震保険料控除 |
対象契約の保険料を 支払った場合 |
所得控除 | 既存契約を確認 | 年末調整等 |
| 医療費控除等 | 対象支払額・補填金・ 取組要件等 |
所得控除 | すでに必要だった 支出を集計 |
確定申告 |
| iDeCo・企業型DCの 加入者掛金 |
勤務先制度、加入資格、 拠出上限 |
掛金の所得控除等 | 積立資金は 原則60歳まで 引出不可 |
払込方法に応じた 年末調整等 |
| 住宅ローン控除 | 入居年、住宅区分、 所得、借入等 |
税額控除 | 住居購入・ 借入の負担がある |
初年度確定申告、 以後年末調整可のケース |
| 特定支出控除 | 対象支出・基準額超過・ 証明等 |
給与所得から差引き | 自己負担・ 勤務先補填を確認 |
確定申告 |
| ふるさと納税 | 上限と申請条件 | 寄附に対応する控除・ 返礼品 |
先払いと 自己負担2000円 |
ワンストップ特例 または確定申告 |
| NISA | 制度対象・ 投資枠等 |
投資利益の 非課税 |
運用資金・ 元本割れリスク |
対象口座での利用 |
まずは申告していないものがないかを確認します。優先順位は「家族・既存支出の申告漏れ→資金余力を確認した積立→住居や事業の予定がある場合の制度」で考え、保険加入や住宅購入、不動産投資、会社設立について節税のみで判断しないことが大切です。
また「万人共通の最強の制度」というものはなく、対象の条件と手元資金によって優先順位が変わる点もポイントといえます。
会社員の税金は、下記の流れで計算が行われます。
所得税と住民税では控除額が異なり、所得税は当年の所得に対し計算・精算されますが、住民税は翌年度の課税となります。なお、会社員の社会保険料の算定は税金の所得控除とは別です。
「所得控除」は課税対象となる所得、「税額控除」は計算後の税額に関係します。また、「NISA」は対象となる投資利益を非課税にする制度です。以上から、「10万円の所得控除」を受けたとしても、10万円が還付されるわけではありません。
たとえば所得税と住民税の双方で追加控除10万円が使用でき、税率境界をまたがずに所得税率20%、税額控除との干渉がないと仮定した場合、2026年分の概算軽減額は「100,000×(20%×1.021+10%)=30,420円」となります。同税率33%の対象者であれば、43,693円の軽減額となります。
日本の所得税では超過累進税率を採用しているため、給与全額に最上位の税率がかかる仕組みではありません。また、配偶者控除などの各種所得制限、住宅ローン等の税額控除の条件、社会保険や児童手当などの給付条件には、それぞれ個別の基準が設けられていますので、個別の手取りを比較する場合には、家族構成や保険料、適用される控除等の具体的な前提が必要となります。
配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除についても整理しておきましょう。別居している親を扶養に入れる場合には、仕送りの事実のみではなく、生計や所得、年齢などを確認し、家族間で扶養の重複申告を行わないように注意してください。また、19歳以上23歳未満の親族は、本人の年間所得の金額により、「扶養控除」または「特定親族特別控除」のどちらかが適用されます。
本人の「合計所得金額1,000万円以下」という配偶者控除の制限は、給与収入1,000万円とは異なり、iDeCoなどの所得控除によりこの合計所得を減らすことはできません。
給与収入が850万円を超えており、下記の条件のいずれかに該当する場合には、所得金額調整控除の適用対象となります。
給与が1,000万円以上であれば控除上限は15万円となりますが、税額が直接15万円減るわけではありません。また、扶養控除とは異なり、条件を満たす共働き夫婦の双方に適用できることに加え、16歳未満の子どももこの調整控除の対象に含まれます。
生計を一にする家族の国民年金や国民年金保険料などを本人が代わりに支払った場合には、その全額について本人の社会保険料控除として申告可能です。ただし、親の公的年金から直接天引き(特別徴収)されている介護保険料などを「子が払った」として控除することはできません。必ず社会保険料控除証明書の名義と、実際の支払い者が誰になっているのかを確認してください。
生命保険料控除と地震保険料控除は、所得税と住民税で控除上限が異なります。生命保険は新契約と旧契約、さらに一般生命・介護医療・個人年金といったように保険の種類によって上限枠が分かれています。そして、2026年分からは子育て世帯に対する一般生命保険料控除の特例が設けられます。
ただし控除枠を埋めるためだけに不要な保険に加入してしまうと、結果としてトータルの支出が増加することになりますので注意が必要です。
医療費控除は、本人が生計を一にする家族のために支払った対象医療費を集計し、保険金などの補填金を差し引いた形で申告を行います。ここでは、通院交通費や歯科矯正などは、治療の必要性や目的などの条件を満たすもののみ対象となっているため注意が必要です。一方セルフメディケーション税制は対象となる市販品の購入費が対象となっており、健康維持等の一定の取り組みを行っている点が条件です。
医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できませんので、より有利な方を選択し、年末調整ではなく確定申告で手続きを行います。
iDeCoや企業型DCの加入者が拠出する掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となっていますが、掛金と同額の税金が戻るわけではありません。加入要件や限度額は、企業年金の有無やマッチング拠出の利用状況により異なります。
また2026年12月に制度改正が予定されているため、現行の制度と改正後の内容を混同しないことが重要です。原則60歳まで引き出せず、手数料や運用リスク、受取時の税金もある点も注意が必要です。
NISAは投資利益に対する税金を非課税にする制度であり、給与の税負担を直接減らすものではありません。ここで、iDeCoとの比較について見ていきましょう。
| iDeCo | NISA | |
|---|---|---|
| 掛金・投資額の所得控除 | 全額が対象 | なし |
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 引出し | 原則60歳まで不可 | いつでも可能 |
| 主な用途 | 老後資金の準備 | 住宅・教育・老後等、自由 |
ふるさと納税は税負担を単純に削減する制度ではなく、自治体への寄附額から2,000円を引いた額が控除され、実質2,000円で返礼品を受け取れる仕組みとなっています。利用上限額は、iDeCoや医療費控除など他の控除を適用した後の条件で正確に算出することが大切であるとともに、先払いとなるため一時的な家計負担にも注意が必要です。
ワンストップ特例制度を利用する場合には確定申告は不要となりますが、医療費控除などで確定申告を行う場合には、ワンストップ申請分も含めた寄附の申告を行わなければなりません。
住宅ローン控除は、計算された税額を直接減らす「税額控除」です。初年度は確定申告が必要となりますが、会社員であれば2年目以降は年末調整での手続きが可能です。
控除を受けるための本人の所得要件や住宅区分・床面積・借入期間などは入居年に応じて確認を行います。「給与収入が高いから対象外だろう」と自己判断せずに、各種条件を確認することが大切です。また、控除を増やすために借入額を増やした場合、減税額以上の返済負担や利息が発生する可能性がありますので注意しましょう。
特定支出控除は、通勤費や転居費、研修費など職務上で必要な支出のうち、勤務先が証明し、かつ会社から補填が行われていない自己負担額が一定の基準を超えた場合に利用できます。基準額は「給与所得控除額の2分の1」となっており、給与所得が195万円の場合には97.5万円が基準となります。
これは、給与所得控除に加えて給与所得の金額から直接差し引く仕組みとなっており、一般的な16種類の所得控除には含まれていません。
基礎控除は、合計所得金額に応じた基本計算として適用されます。また、障害者控除と雑損控除の主な対象条件は下記のとおりです。
| 控除名 | 主な対象条件 |
|---|---|
| 障害者控除 | 本人、控除対象配偶者または扶養親族が障害者である場合 |
| 雑損控除 | 災害、盗難、横領により資産に損害を受けた場合 |
年末調整を行う場合には、申告漏れを防ぐために以下のような必要書類を勤務先に提出します。
もし控除証明書を紛失してしまった場合には、再発行を依頼します。また、すでに給与天引きにより反映されている保険料などを二重に計上しないように注意が必要です。
医療費控除、雑損控除、特定支出控除、住宅ローン控除の初年度適用、ワンストップ特例を使わないふるさと納税などについては、確定申告が必要となります。また、給与収入が2,000万円超の人、2カ所以上から給与を受けている人、給与以外の所得が20万円を超える人も確定申告を行います。ちなみに「副業の20万円」は、売上ではなく経費を差し引いた所得となっています。
また、所得税の申告が不要だったとしても住民税の申告が必要なケースもある点や、年末調整済みでも確定申告が必要な場合には、年末調整分も含めて正しい総額にて申告するといった点などに注意します。
所得税は年末調整時の還付や確定申告により精算され、住民税は翌年の6月から給与天引き等に反映されるといったように、反映する時期が異なります。ただし、確定申告による還付額は納め過ぎた税金が戻るだけであり、年間の実際の減税額とは区別しましょう。前年の税額との差額のみで節税効果を判断しないことが大切です。
通常、確定申告の期限は翌年2月16日〜3月15日となっていますが、還付申告は翌年の1月1日から5年間行うことができます。もし申告漏れに気付いた場合には、更生の請求等にて修正します。
副業収入は、給与所得、事業所得、雑所得のいずれかに区分され、経費にできるのは事業に必要な支出のみとなります。また家事按分を行う場合には、明確な基準と記録が必要となります。
また、常時雇用の会社員は副業の事業所得があったとしても小規模企業共済に新規加入はできません。
法人を設立した場合には、個人の勤務先からの給与所得と法人の事業利益は完全に切り離されるため、法人を作るだけで勤務先の給与の税負担が下がるわけではありません。法人化を検討する場合には、事業の利益規模に加えて設立・会計・申告にかかる費用、法人税、社会保険、役員報酬の条件などを含めて検討を行うことが重要です。
不動産所得が赤字になった場合、損益通算には一定の条件や除外規定があります。特に土地取得に係る借入金の利子部分は損益通算の対象外となることから、注意が必要です。税務上の帳簿の損益と実際の現金収支を区別し、空室リスクや修繕費、借入金の返済、将来の売却まで含めた判断を行います。なお、配当控除は対象となる配当の種類や課税方式によります。
節税のために追加支出が必要な場合には、「実際の支払額−税負担の軽減額」で手出しがどの程度の金額になるのかを確認します。その支出が将来の資産として残るのか、いつ引き出して使えるのかといった点も合わせて検討することが重要です。控除額を増やすために不要な保険に加入する・必要以上の寄附を増やしたりすることは、結果的に手元の現金を減らしてしまい、家計の改善にはつながりません。
iDeCo、医療費控除、住宅ローン控除、ふるさと納税は、それぞれの「最大節約効果」を単純に足し算できるわけではありません。制度ごとに給与収入、合計所得、課税所得のどれが判定基準となるかを確認します。また、所得税と住民税、対象となる年、制度の施行日なども区別することが大切です。税制は改正されるため、計算時点の制度確認日も明記しておくと良いでしょう。
たとえば「年間40万円の節税」ができるかは、年収のみで決まるものではなく、適用される税率や対象となる実際の支出額、利用できる控除の種類などによって変わります。「40万円の所得控除」とは、税金が40万円減るという意味ではありません。ふるさと納税の控除額やNISAの投資額も減税額として単純に足すのではなく、既存の控除と新たな控除を組み合わせた、実際の税額差で考えることが大切です。
節税に特別な裏ワザはありませんので、自身の家族状況や支払額に応じた控除を、見落とさずに正しく適用することが基本です。別居している親の扶養判定や子どもの国民年金保険料の本人支払いによる控除、所得金額調整控除など、見落としがないかを確認してください。架空経費や所得隠し、実体のない扶養、個人的な支出の全額経費化などは適切な節税ではありません。
年収1,000万円と2,000万円では、利用できる共通の制度もありますが、本人所得による制限(配偶者控除や各種給付など)が変わってきます。適用される所得税率が異なることから、同じ控除額だったとしても節税効果に差が出ます。また、「給与収入2,000万円ちょうど」であれば年末調整の対象となりますが、「給与収入2,000万円超」となると確定申告を行う必要が出てきます。
サラリーマンが節税する場合には、まず家族関係や既存の支出から適用できる控除の漏れがないかを確認します。その上で、積立余力に応じて資産形成を検討し、年末調整や確定申告の手続きをしっかりと行っていきます。
このような中では「使える控除と教育費・住宅費・老後資金の配分をまとめて確認したい」と考え、FP相談を利用する人も多くいます。また、税務上の個別判断については、税理士等の専門家と連携しながら検討を進めてください。