社会保険料の減らし方|仕組みと削減対策を解説

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社会保険料は、給与から天引きされる個人負担分だけで約15%にのぼります。まずは基本的な仕組みを理解し、できる対策を講じることで手取りの改善につなげていきましょう。本記事では、社会保険料の削減方法と注意点をあわせて解説します。

社会保険料の仕組み

給料天引き15%+会社負担15%、合計30%にもなる社会保険料

社会保険料の負担割合は、給与から天引きされる個人負担分が約15%、これに加えて会社が同額の約15%を負担するため、合計で給与の約30%が社会保険料として国に納められます。たとえば月給50万円の場合、個人負担は約7.5万円、会社負担も約7.5万円で、毎月合計15万円が納付される計算です。給与が上がるほど、この負担額も大きくなります。

4〜6月の平均給与で1年分の保険料が決まる|標準報酬月額とは

社会保険料の計算基準となるのが「標準報酬月額」です。標準報酬月額は、毎年4〜6月に支払われた給与の平均額をもとに算出され、この算出値が同年9月から翌年8月まで適用されます。

残業代や通勤手当なども算定対象に含まれるため、この時期に給与が高くなると1年分の社会保険料も上昇。社会保険料を見直すうえで、まずこの仕組みを把握しておくことが出発点になります。

社会保険料を抑える方法

社会保険料を抑えるための基本的な前提は、標準報酬月額を減らすことです。ただし、標準報酬月額を社員自身の一存で「増やす」ことができないのと同様、これを「減らす」こともできません。対策を実現するためには、会社側との話し合いと合意形成が必要となります。

以下、標準報酬月額を減らして社会保険料を抑える方法について確認していきましょう。

4〜6月の残業を減らすだけで翌年の保険料が変わる

前述のとおり、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額は4〜6月の給与の平均額をもとに決定されるため、この時期の残業代が多いほど総支給額が上がり、その分だけ同年9月から翌年8月まで適用される保険料が引き上げられます。逆に言えば、この時期の残業代を抑えれば、その分だけ社会保険料が下がることになります。

なお、残業手当を翌月払いにしている会社では、3〜5月の残業が標準報酬月額に影響するケースもあるため、まずは勤務先の給与規定を再確認してみましょう。

昇給のタイミングを7月以降に設定する

昇給月を4〜6月の場合、7月以降にずらすことで算定基礎期間中の給与平均を低く抑えられるため、社会保険料の増加を翌年以降に先送りできます。

人事制度の改定には社内調整が必要ですが、昇給時期の見直しは比較的着手しやすい対策のひとつ。可能であれば、昇給タイミングを7月以降にできないかどうか、会社に相談してみると良いでしょう。もとより、会社側が能動的に昇給タイミングの検討を行うことが望まれます。

有休買取や賞与を退職金に振り替えて保険料の対象外にする

給与や賞与として支払われる報酬は社会保険料の計算対象ですが、退職金には社会保険料がかかりません。そのため、有休の買取分や賞与の一部を退職金制度に組み込むことができるならば、毎月の標準報酬月額を下げることが可能です。

ただし、退職金の設計は就業規則の変更や税務上の処理が伴うため、社労士や税理士への相談を前提になるでしょう。

非課税手当・福利厚生への置き換えで標準報酬月額を下げる

出張手当、慶弔見舞金、社宅の提供、社員食堂の補助などは、要件を満たせば標準報酬月額の算定対象外となります。給与の一部をこうした非課税の手当や福利厚生に置き換えることで、実質的な処遇水準を維持しつつ、会社・従業員双方の社会保険料負担を軽減できます。

制度設計に際しては、事前に対象となる手当の要件をしっかりと確認しましょう。

企業型確定拠出年金の掛金は報酬扱いにならない

企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入すると、会社が拠出する掛金は給与として扱われないため、標準報酬月額を引き下げる効果があります。たとえば月給30万円の一部5万円を掛金として拠出する形にすれば、社会保険料の算定基礎は25万円に圧縮される形です。

従業員の老後資産形成にも寄与する制度なので、手取り改善と資産形成を同時に進められます。

時短・在宅勤務の導入で労働時間を見直して給与水準を調整する

時短勤務や在宅勤務への移行によって労働時間が短縮されると、給与総額が下がって標準報酬月額も抑えられることがあります。働き方改革の一環として導入しやすいうえ、従業員のワークライフバランス向上にもつながる点がメリットです。

ただし、労働条件の変更するためには、には本人の同意が必要なため、制度設計と丁寧な合意形成をセットで進めることが前提になります。

【番外編】退職日を月末より1日前に設定するだけで1か月分が変わる

社会保険は、月末時点で勤務先に在籍している場合において、その月の保険料が発生します。そのため、退職日を月末の前日に設定すると、退職する月の社会保険料が生じません。たとえば4月30日退職では4月分が発生しますが、4月29日退職であれば4月分が不要になります。

退職日の調整は比較的シンプルな対策なので、会社側と話し合ってみる価値はあるでしょう。

社会保険料を削減する際の注意点

保険料を減らすと将来受け取る年金額も下がる

社会保険料を抑えると標準報酬月額が下がるため、これに連動し、将来受け取れる厚生年金の額も少なくなります。保険料の削減は短期的な手取りの改善につながりますが、老後の生活の基礎となる年金が減額される点についても、あわせて慎重に検討してみるべきでしょう。

なお、仮に年金の受取額が減った場合、長く生きれば生きるほど、この減額分が積み重なる形となります。健康長寿は望ましいことですが、減額された状態が長く続くというリアリティもイメージしておくべきでしょう。もとより、長生きしなければ受け取る年金の総額自体が少なくなりますが。

傷病手当金・出産手当金の給付額も標準報酬月額に連動する

傷病手当金や出産手当金は、直近12か月の標準報酬月額の平均をもとに算出されます。そのため、社会保険料を抑えるために報酬を低く設定していると、病気・ケガ・出産で休業が必要になったときに受け取れる手当も少なくなります。

特に育児や健康リスクが高まる年代の方にとっては、手取り改善と給付水準のどちらを優先するか、慎重に考える必要があるでしょう。

失業時の給付額が減り、再就職までの生活を圧迫するリスクがある

失業保険(雇用保険の基本手当)の給付額は、離職前の賃金をもとに計算されます。そのため、社会保険料削減のために給与水準を下げていた場合、その分、退職後に受け取れる失業給付も少なくなってしまいます。

再就職に時間がかかる場合ほど、この影響は家計に直結。社会保険料の削減はコスト面では有効な対策ですが、もしものときのセーフティネットが弱まることを念頭に置いたうえで判断してください。

まとめ

社会保険料は給与の約30%にのぼる大きな負担ですが、仕組みを理解したうえで対策を講じれば、手取りの改善が期待できるでしょう。ただし、社会保険料の算定基準となる標準報酬月額の削減により、将来受け取る年金や各種給付額が下がるリスクもあるため、短期的な節約だけを目的にせず、長期的な影響を見据えた判断が重要です。

なお、以下のページでは、高年収のサラリーマンや個人事業主が実践している資産運用について解説しています。社会保険料の見直しと並行し、少しでも手取りを増やしたい方は、ぜひ参考にしてください。

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