高年収特化FPと学ぶ 「守りの資産運用ゼミ」 ~Low Risk, More Money~
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iDeCoの掛金は所得控除の対象ですが、掛金全体が戻ってくるというわけではありません。その効果は年収だけでは決まらず、課税所得や掛金、ほかの所得などによって変わってきます。また、iDeCoの場合には原則60歳まで引き出すことができないため、生活資金とは分けて考えることが大切です。
iDeCoの節税効果は、加入者の年収(適用される所得税率)によって大きく変わります。日本の所得税は累進課税制度をとっているため、所得が高い人ほど高い税率が適用され、その分だけiDeCoによる節税効果も大きくなります。
節税額の計算式はシンプルです。
【年間の掛金 ×(所得税率 + 住民税率10%)= 年間節税額】
以下は、毎月の掛金を2.3万円(年間27.6万円)とした場合のシミュレーションになります。
| 年収 | 適用される税率の目安(所得税+住民税) | 計算式 | 年間節税額(目安) |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 33%(23%+10%) | 27.6万円 × 33% | 約9.1万円 |
| 1,200万円 | 43%(33%+10%) | 27.6万円 × 43% | 約11.8万円 |
| 1,500万円 | 43%(33%+10%) | 27.6万円 × 43% | 約11.8万円 |
| 2,000万円超 | 50%(40%+10%) | 27.6万円 × 50% | 約13.8万円 |
※復興特別所得税(2.1%)は省略しています。
※所得税率は課税所得金額により異なります。実際の節税額は個人の状況によって変わります。
参照元:国税庁「No.2260 所得税の税率」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
年収2000万超のプレイヤーであれば、積立額の実に半分(50%)が毎年の税金からキャッシュバックされます。これは、投資の運用成績がたとえ0%(元本確保型商品)だったとしても、最初から『確実な利回り50%』が確定している状態を意味します。
同じ年収だったとしても、それぞれの控除によって税負担の軽減額は異なります。
たとえば、給与収入1000万円(給与所得控除195万円)、社会保険料控除150万円(説明上の仮定)、所得税の基礎控除62万円(2026年12月施行・2026年分適用条件)、その他控除等がないケースと仮定して見ていきましょう。この場合には、iDeCo前の所得税における課税所得は593万円となり、所得税率20%が適用されます。
たとえばiDeCoの掛金を月2万円(年間24万円)とした場合には、所得税・復興特別所得税が49,008円(48,000円×1.021)、住民税所得割が24,000円で、合計約73,008円の税金が減ることになります。また、もしiDeCoの掛金を月2.3万円(年間27.6万円)とすると、約83,959円軽減されます(税額の端数処理や住民税の調整等を省略した概算)。
ただし、この税負担軽減は掛金を老後資金として拠出した結果によるものですので、今自由に使えるお金がそのまま増えるわけではない、という点に注意が必要です。
税負担の軽減額を計算する際に、適用される税率は年収ではなく、給与所得から各種控除を差し引いた課税所得によって決まります。そのため、同じ年収だったとしても、家族構成や社会保険料、医療費控除等の状況によって税率は変わってきます。また、月の掛金と課税所得が同じ税率帯であれば、年収が違っていたとしても税負担軽減額が同じになるケースもあります。
iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となります。「掛金の額=減る税金の額」というわけではなく、掛金により課税所得が圧縮され、その結果として税額が減る、という仕組みになっています。
同一税率内に収まる場合の概算(2026年度)については、「年間掛金×(所得税率×1.021+住民税所得割率10%)」で求められます。このように控除される金額(所得控除額)と実際に減る税金(税負担軽減額)を分けて理解しておくことが大切です。
試算を行う場合には、源泉徴収票にある「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」を確認し、当年の見込み額に置き換えてシミュレーターに入力します。すでにiDeCoの掛金が反映されている資料を使用する場合には、同じ掛金を二重で控除しないように注意しましょう。そして、年齢や職業・企業年金、年収、家族構成、月額、積立期間を入力し、試算を行います。
外部のシミュレーターを使用する際には、古い基礎控除や掛金上限のままではないか、対応年度と対象範囲を確認することも大切です。
iDeCoの拠出により課税所得が下がり、税率の境界をまたぐケースについて、それぞれの税率帯を適用し、前後の税額差を計算します。また、住宅ローン控除などによって所得税がすでに大きく減っている場合には、所得税・住民税の両方を確認することが大切です。
iDeCo最大のメリットは、月々支払う掛金の「全額」が所得控除の対象となることです。通常、投資に回すお金は税金が引かれた後の「手取り」から捻出しますが、iDeCoの場合は掛金を支払うことで、その分だけ課税対象となる所得が差し引かれます。結果として、毎月の給与から天引きされる所得税や、翌年支払う住民税を直接的に安く抑えることができます。
通常の証券口座で投資信託などを運用した場合、得られた利益(売却益や配当金)に対しては約20%(20.315%)の税金が課されます。しかし、iDeCoの口座内で運用して得られた利益については、どれだけ増えてもすべて非課税となります。
たとえば、運用で1万円の利益が出た場合、通常は税金で約2,000円が引かれてしまい、手元に残る8,000円しか次の投資に回せません。しかしiDeCoなら、税金で引かれるはずだった2,000円も含めた「1万円全額」を、そのまま次の投資の元手(再投資)に回すことができます。
このように「利益が新たな利益を生み出し、雪だるま式にお金が増えていく仕組み(複利効果)」を、税金に邪魔されることなくフル活用できるため、運用期間が長くなればなるほど、将来の受け取り額に数十万〜数百万円単位の圧倒的な差となって現れます。
iDeCoで積み立てた資産を一時金として受け取る際、退職所得控除を適用することで税負担を抑えることが可能です。しかしながら、大企業の管理職や医師、士業の方など、本業の退職金が多額になる場合は、退職所得控除の枠を使い切ってしまうケースも少なくありません。
退職所得控除は勤続20年で800万円、30年で1,500万円と定められています。もし会社の退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ってしまうと、それぞれが退職所得として合算されるため、想定していた以上の税額が発生するリスクがある点にご注意ください。
こうした事態を回避するため、まずはiDeCoを先に受け取り、会社の退職金との受給時期をずらすなどの戦略が有効です。ただし2026年からは、制度改正によって控除を重複させないための間隔要件が見直されます。制度の変更点を踏まえ、自身の受け取りスケジュールを慎重に検討することが重要です。
会社員の場合、勤務先の企業年金の有無により掛金の上限が変わってきます。現行では、企業年金がない場合には月2.3万円、企業年金がある場合には原則月2万円以内で、かつ企業型DC事業主掛金・DB等掛金相当額との合算制約があるため注意が必要です。
また、企業型DCのマッチング拠出を利用している場合にはiDeCoとの併用ができないため、事前に勤務先へ確認するようにしてください。
国民年金の被保険者区分によって掛金の上限が変わります。公務員や勤務医等(第2号被保険者)は勤務先の制度を確認する必要があります。また、個人事業主や開業医(第1号被保険者)の場合は、国民年金基金等との共通枠で現行月6.8万円が上限となっています。
2026年12月1日施行の改正によって、第2号被保険者(会社員や公務員等)の掛金上限が企業年金の有無に関わらず月6.2万円となりますが、企業年金の事業主掛金等を差し引いた枠内での利用となります。また、第1号被保険者の上限は7.5万円(国民年金基金等と共通)に引き上げられます。
また、加入可能年齢の拡大も予定されていますが、こちらは一定の要件があります。
上限の引き上げは2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から適用されることになるため、2026年の1年間に新たな上限が適用されるわけではない点に注意が必要です。「月6.2万円×12か月=74.4万円」は、改正後の上限を1年間利用した場合の年額として考え、試算することが必要です。
また掛金を増やすと課税所得の税率帯が変わることがあり、節税額が同じ割合で増えるとは限らないため、現在の節税額を単純に掛金倍率で増やさないように注意しましょう。新上限や加入年齢、手数料等は、実際に利用する時点での最新の公式情報を確認することが大切です。
年収1,000万以上だったとしても、手元資金に余裕があるとは限りません。iDeCoは原則60歳まで資金の引き出しができないため、生活防衛資金や近い将来の支出をまず確保しておき、老後まで使わない金額を見極めて掛金を設定することが大切です。
また、加入期間により受給開始年齢が異なるケースもあります。掛金の支払いが苦しくなった場合には「中断」や「減額」が可能ですが、資金の引き出しはできない点に注意が必要です。
iDeCoは税制上のメリットがある一方、加入時・運用中・受取時などに手数料がかかります。「運用管理手数料0円」と書かれていたとしても、iDeCoにかかるすべての費用が無料という意味ではありません。また、元本確保型商品でも手数料がかかる場合があり、投資信託を選択すると運用によって元本割れする可能性もあります。 iDeCoのメリットは、主に「運用益が非課税」「掛金が所得控除になる」の2点です。長期間の累積試算は「同じ所得・掛金が続く」と仮定したものであるため、将来の利益や税制を保証するものではないと理解しておくことが大切です。
NISAは運用益が非課税になる制度ですが、iDeCoは老後資金の積立を目的としており、掛金が所得控除になります。両者は目的や優遇の仕組みが異なるため、併用する場合には目的と上限を分けて考えましょう。
また、iDeCoの掛金が増えた場合、ふるさと納税の自己負担2,000円で収まる上限にも影響することから、ふるさと納税の上限額を確認する場合には、iDeCoを反映させた後の条件で再試算する必要があります。
iDeCoを一時金として受け取る場合には退職所得、年金として受け取る場合には公的年金に係る雑所得として扱われます。このように一時金・年金では使用する控除と合算対象が異なるため、正確に試算を行うには、会社の退職金見込額や勤続期間、iDeCoの拠出期間、公的年金や他の所得について確認し、退職所得控除などの枠内に収まるか、どの程度の税金がかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。
iDeCoの一時金と退職金を両方受け取る場合には、受取時期が近いと退職所得控除の計算で期間の重複を調整(前年以前19年内や9年内等のルール)する場合があります。どちらを先に受け取るかによって手取りが変わる場合があるため、仕組みの理解が必要です。このような個別の受取額や退職時期に基づく判断については、税理士等に確認しましょう。また、家計全体や受取予定の整理については、FPに相談することがおすすめです。
会社員の方がiDeCoの所得控除を受けるには、例年10月から11月頃にかけて郵送されてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。この証明書を年末調整書類に添付し、該当する欄へ必要事項を記入したうえで勤務先に提出することで手続きが完了します。
なお、2024年12月からは制度が変更され、個人口座から掛金を拠出する場合、加入時の事業主証明書が原則として不要となりました。これにより、勤務先へ書類の作成を依頼しづらいと感じていた方にとっても、手続きに心理的な壁を感じにくくなったことでしょう。
年末調整での控除申告とあわせて、会社員の方にとっても以前より利用しやすい制度へと見直されています。
自営業者やフリーランスの方、または会社員でも「医療費控除」や「住宅ローン控除の初年度」などで確定申告を行う場合は、確定申告書にiDeCoの拠出額を記載して申告します。申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に支払った掛金の合計額を記入し、払込証明書を添付します。
なお、会社員でうっかり年末調整での申告を忘れてしまった場合でも、後から自分で確定申告(還付申告)を行えば、遡って税金の還付を受けることが可能です。
iDeCo(イデコ)は、老後の資産形成をしながら「掛金の全額所得控除」「運用益の非課税」「受取時の税制優遇」という3つの強力なメリットを享受できる、非常にバランスの良い節税対策です。
iDeCoのほかにも、サラリーマンや個人事業主が「手取り」を増やすための効果的な節税対策は数多く存在します。ふるさと納税やNISA、さらには各種所得控除をフル活用する方法など、自分に合った対策を組み合わせて、賢く資産を守り、増やしていきましょう。以下のページでは、節税対策の種類や手取りを増やす方法を解説していますので、あわせて参考にしてみてください。